道産木材の楽器 / 森林とふるさとを元気にする「地材地消」

道産木材の楽器 / 森林とふるさとを元気にする「地材地消」

網走管内 遠軽町 - ピアノ響板
北見木材(株)
網走管内 遠軽町 - ピアノ響板:北見木材(株)

 ピアノは響板(共鳴板)と呼ばれる板に弦の振動を伝えて音を響かせます。ピアノの心臓部と呼ばれるこの響板用の材として、北海道のアカエゾマツが使われています。北見木材㈱の中核製品は「響板」や「鍵盤板」などを含む、高品質のピアノ木製部材。同社は技術を蓄積して付加価値を向上させ「素材供給会社」から「ピアノ木製部材メーカー」へと転換を図ってきました。現在では響板などの国内シェアは約70%、世界では約16%のシェアを占めるまでになっています。写真は製作の様子。

上川管内 和寒町 - アーチトップギター
ODASHIMA GUITARS
上川管内 和寒町 - アーチトップギター:ODASHIMA GUITARS

 ボディが美しいアーチを描く手づくりのアーチトップギター。堅さがありつつ、適度にしなりもあるという楽器材の特性を備えた道産エゾマツやイタヤカエデが使われています。
 まな板状の部材から慎重に削り出していくアーチトップギターの製作期間は約2カ月。製作者自ら注文主に届けるという完成品はプロアマを問わず好評です。北海道の木に付加価値をつけて販売することで、乱伐の防止や、森林整備につなげたいという思いで製作を続けています。

十勝管内 帯広市 - ウクレレ
WALNUTGROVE
十勝管内 帯広市 - ウクレレ:WALNUTGROVE

 その温かみのある音色や気軽に弾けることから近年人気のウクレレ。そもそもウクレレの音色が好きだったことから家具製作の傍ら、道産木材のウクレレづくりに挑戦しているのが帯広市WALNUTGROVE。独学で製造工程を学び、どうせつくるなら素材は道内材でと、特に杢の美しいエゾヤマザクラやイタヤカエデを使ったウクレが誕生しました。マホガニーやハワイアンコアが主流を占める中、その音質にも高い評価を得ています。写真はエゾヤマザクラ製。

空知管内 美唄市 - ライア
英円楽器
空知管内 美唄市 - ライア:英円楽器

 ライアはスチール弦を張った弦楽器で、優しい響きが特徴。シュタイナー教育や音楽療法の分野でも使用されています。英円楽器では地元の素材で料理をつくるように自然に地元の木での楽器づくりがはじまりました。使用木材は道産のイタヤカエデ、アカエゾマツなど。家具などには使われない木の根に近い部位も多く活用しています。種類は現在7弦、8弦、12弦、35弦。演奏会の開催や演奏法を教える講習会も札幌等で行っています。写真は8弦の“URARA”と35弦の“SAKURA”。