木材に関する疑問にお答えします

質問 木製家具から虫が発生しました。この虫の駆除方法や予防方法について教えてください。また、ほかの木材に被害を及ぼさないでしょうか。
答え  まず、発生した虫が、木材を食害する(食い荒らす)虫なのか判断します。木材を食害するものでなければ、その虫によって木材が劣化することはありません。木材を食害するものであれば、その虫が湿材害虫(含水率の高い木材を食害する虫)なのか、乾材害虫(含水率の低い乾燥した木材を食害する虫)なのか判断します。
 湿材害虫であれば,木材から出てしまえば問題はありません。乾材害虫であれば、被害が拡大するおそれがあるので駆除しなければなりません。この乾材害虫は、木材の表面に産卵し、幼虫期を材内で過ごし、そして成虫となって材から脱出します。
 虫を駆除するためには、表面に防虫剤などを吹きつけるか、塗布することが有効です。この方法は市販の殺虫剤を用いればよいので、一般家庭でも行うことが可能です。この際、材内部にいる幼虫を確実に駆除するため、防虫剤の成分をより多く浸透させるように処理を繰り返し行います。
 また、防虫剤などの薬剤を使わない方法として、熱処理が用いられます。木材を60℃以上の温度で加熱することで、木材表層部についた虫の卵、および材内の幼虫を駆除することができます。
 虫の侵入を防ぐ方法としては、あらかじめ防虫処理をしておくことが有効です。防虫処理は、工場レベルで行う薬剤を加圧注入する方法や、一般家庭でもできる薬剤を塗布する方法があります。いずれの方法でも、木材中に薬剤成分が十分に行き渡るように処理することが重要です。また、塗装することで木材表面を覆い、虫が産卵できないようにすることも有効です。この方法では、塗りもらしや塗りムラがなければ塗料がはげ落ちない限り効果は持続します。
 この乾材害虫は、その種類によって食害する木材の種類が決まっています。ほかの部分の木材が、発見された虫が食害できる種類であれば被害を受ける可能性はありますが、防虫処理されているものであれば食害されることはありません。
加害樹種 分布
ヒラタキクイムシ科 ヒラタキクイムシ ラワン、ナラ、カシ、ケヤキ、シオジ、タブ、キリ、タケ 日本全土、温帯、亜熱帯、熱帯各地
ナラヒラタキクイムシ ラワン、ナラ、カシワ、ヤチダモ、ヤナギ、シオジ、ポプラ、ブドウ 北海道、本州、シベリア、欧州、北米
ケヤキヒラタキクイムシ ケヤキ 本州、中国、朝鮮、欧州
ナガシンクイムシ科 チビタケナガシンクイムシ タケ 本州、四国、九州、温帯、亜熱帯、熱帯各地
ニホンタケナガシンクイムシ タケ(まれにスギ、ヒノキ、キリ) 本州、四国、九州、中国
カキノフタトゲナガシンクイムシ ケヤキ、カシ、カキ、クワ 本州、四国、九州、中国
シバンムシ科 マツノザイシバンムシ アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、カラマツ、トウヒなどの針葉樹 北海道、本州、欧州、北米
カツラクシヒゲシバンムシ カツラ 北海道
ノウタニシバンムシ ブナ、スギ、トドマツ、マツ、ホオノキ、イタヤカエデ 北海道、本州、欧州
ケブカシバンムシ マツ、ヒノキ、クス、その他 北海道、本州、欧州、北米
クシヒゲシバンムシ カバ、その他の乾燥材、畳表 日本全土、台湾、インド、中国
カミキリムシ科 ベニカミキリ タケ 日本全土、中国
イエカミキリ モミ、スヒ、ケヤキ、シマグワ、タブ、アカギ、テリハボク、クロキ、エゴオンキ、シオジ 小笠原、奄美大島、亜熱帯、熱帯各地


〜北海道立林産試験場「林産試だより:木材に関する質問と回答」より〜

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質問 家具などに使われている木材を食害する(食い荒らす)虫が、いつ木材についたのか知りたいのですが。
答え  木材を食害する虫がいつ木材についたのか判断することはそう簡単なものではありません。一般に木材を食害する虫というのは、木材に卵を産みつけ、幼虫時代を木材内で過ごし、成虫となって木材から脱出します。したがって、食害のきっかけとなるのは虫の木材への産卵ということになります。この虫の産卵は、木材が伐採後加工され材料となり、それが実際使用されるまでの間、さらにその後と、多数の段階で可能です。どの段階で入ったのかを判断するためには、その虫の種類や、虫の発生が認められるまでにその木材がどのような履歴を経たのかが重要です。
 木材を食害する虫には、伐採直後の水分量の高い木材を食害する湿材害虫、乾燥された木材を食害する乾材害虫がいます。したがって、虫の種類により、虫の侵入が伐採直後なのか、材の乾燥後なのかということが判断できます。伐採された木材が製材されて実際に使用されるまでの間に、通常、乾燥が行われます。大部分の虫は60℃以上の温度で加熱すると死滅するので、人工乾燥を経た木材では、その侵入は人工乾燥後であると考えることができます。
 乾燥後、材温が下がれば、再び虫による食害を受ける可能性があります。したがって、乾燥後の木材を保管する場合、何らかの防除策を施しておかなければなりません。特に、木材を倉庫内で保管している際に、同じ倉庫にたまたま持ち込まれた被害材が発生源となり、ほかの木材が被害を受けることがあります。また、木材をいたずらに長期間保管すると、食害を受ける可能性が高くなります。
 ここまでの工程で、しっかりとした乾燥、防除策を施していることが明らかとなれば、虫はこれ以降の段階でついたと考えられます。ここで、これ以降どの段階でついたのかを知るために、再び虫の種類が重要となります。
 虫の種類によって、産卵→幼虫→成虫のサイクルにかかる期間が異なります。たとえば、1年1世代である虫の場合は、木材からの成虫の脱出が1年間で1回ということになります。したがって、虫の侵入のきっかけとなった産卵の時期は、成虫の発見からおおよそ1年前と考えられます。
 以上のように、虫の種類と木材の履歴を調査することで、進入時期を推測することはできます。しかし、乾燥工程や木材貯蔵時の不備が考えられることや条件次第では虫の1世代のサイクルに要する時間が変化する可能性が考えられることから、断定するのは困難です。

〜北海道立林産試験場「林産試だより:木材に関する質問と回答」より〜

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