木材に関する疑問にお答えします

質問 インテリアとして使う木材や枝などを難燃処理したいのですが、どのような薬剤がありますか。また、それらで処理された木材に変色などの変化はありますか。
答え  工場生産によらず住宅のインテリア部材を難燃処理する方法として、@水溶性の難燃剤の含浸、A防火塗料の塗布、が考えられます。それぞれ市販品が入手可能です。

 @用の難燃剤として、ふすまや障子といった紙製品を対象としたスプレー式製品が市販されています。ただし、吸湿性が高くなったり、結晶の浮き出し(白い粉が析出する)が生じるおそれがあります。また、このような難燃剤を木材にスプレーしても木材内部への浸透がほとんど期待できず、防火効果は薄いと思われます。なお、難燃剤を含浸させた木材の表面は、難燃剤の種類にもよりますが、やや暗くなることがあるようです。

 Aの防火塗料は、基材に塗装された塗膜が加熱されたときに発泡し、厚い断熱層を形成して基材表面の温度上昇を妨げ、燃焼を防止するものです(写真1)。昭和50年代に、スプリンクラーなどの消防設備を設置する代わりに防火塗料を塗って難燃化する方法が消防法の特例基準として制定されたことから、(財)日本消防設備安全センターの認定を得た多くの防火塗料が開発されました。現在、スプリンクラー代替の特例措置は廃止されていますが、当時の認定防火塗料の一部は入手可能です。また、その後新たに開発された防火塗料や外国製の防火塗料も市販されています。しかし、防火塗料の多くは下地を覆い隠す着色タイプなので、木材の木目を生かしたい場合には不適当です。透明タイプの防火塗料は、防火性および塗膜の耐久性の点に課題が残されているように思われます。

〜北海道立林産試験場「林産試だより:木材に関する質問と回答」より〜

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質問 住宅地での木製窓などに対する防火規制をクリアする製品を製作するためのポイントを教えてください。また、それに使用する難燃処理木材の入手先を探しています。
 耐火建築物の防火区画などに用いられる特定防火設備には60分間、延焼のおそれのある開口部などに使用される防火設備には20分間の遮炎性能が求められます。これまで、木製防火設備として玄関ドア、窓、車庫用オーバードア(シャッター)が認定されており、それらの構造は「耐火防火構造・材料等便覧」に記載されています。同書によると、木製防火窓に特徴的な仕様として以下のような防火処理が見られます。
@ガラスは網入りガラスとする。
A窓と窓枠とのすき間やガラス留め付け部分に加熱発泡材を組み込む。
B押縁はなるべく大きくし,ガラスの挿入深さを深くする。
Cガラス端部と框との間に挿入するガラスセッティングブロックとして無機系材料を用いる。
Dガラス押さえコーキング剤として難燃性のものを用いる。
E押縁とガラスの間にセラミックシートを挟み込む。
F複層ガラスのスペーサーとしてアルミニウム合金製のものを用いる。
G押縁を止める木ねじの頭を木栓で覆う。
 木製防火ドアは表10に示すように100件以上認定されており、多様な構造型式、デザインが選択可能です。防火性能を付与する方法としては、構成木材を難燃処理する以外に、部材断面を厚くしたり無機材料との接着積層などが行われています。
 防火ドアの枠材、芯材に難燃処理木材を使用する場合、加圧注入処理によって木材内部まで難燃剤を含浸する必要があります。防火ドア用の難燃処理木材として特に定まった規格・認定などはありませんから、加圧注入処理によって内装用難燃木材を製造しているメーカーに適宜委託加工を依頼すれば必要な部材は入手可能と思われます。加圧注入処理による難燃木材の製造工場は全国に二十数社あります。

〜北海道立林産試験場「林産試だより:木材に関する質問と回答」より〜

   【木製窓の防火処理方法】


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質問 住宅の内装材に木材を使用したいのですが、防火上の制約はありますか。また、どのような防火対策が有効でしょうか。
答え  戸建て住宅の内装やインテリア用品で建築基準法や消防法の防火規制を受ける部位は常時火気を使用するようなキッチンやボイラー室の壁・天井程度に限られています。このような「火気使用室」の内装材には、石こうボードのような準不燃材料または不燃材料を用いなければなりませんが、それ以外の部屋の内装を木材とすることはなんら差し支えありません。また、樹種がスギやタモなどに限られますが、国土交通大臣の認定を得ている準不燃木材であれば、火気使用室にも使うことができます。
 住宅の内装がそれほど規制を受けないのは、都市全体の防火対策の中で、住宅には周囲で発生した火災による延焼を防ぐ性能が主に期待されているためです。また、耐火建築物のように、内部の延焼拡大を防止するための防火区画を設けることが住宅にはそぐわないこともあります。しかし、平成12年度の消防白書によると、火災による死者1,346人のうち住宅火災によるものが981人と最も多くを占め、その経過別死者発生状況は、発見の遅れおよび延焼拡大が早いなどによる逃げ遅れが多くを占めています。一方、消防機関が火災を覚知してから放水開始までの時間が5分以内のものは5,926件(放水した建物火災の31.4%)、10分以内のものは1万5,667件(放水した建物火災の83.1%)であったことから、火災初期に発見し、消防力などで延焼拡大を抑えることができれば火災被害は大きく低減すると考えられます。
 平成12年に施行された住宅性能表示制度において、住宅の火災安全性に関しては@(火災)感知器設置等級およびA(延焼の恐れのある部分の)耐火等級の2項目が評価の対象となりました。このうち、@は火災が発生した場合の早期感知のしやすさを評価するものです。
 住宅内部には家具などの“燃えぐさ”となる収納可燃物が多量にあるので、建築内装材だけを難燃化してもその防火効果は限定的なものとなります。そのため、火災感知システムの設置も望まれます。

〜北海道立林産試験場「林産試だより:木材に関する質問と回答」より〜

   【火災による経過別死者発生状況】
      

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