まだある「木」と「健康」の関係

■木のにおい
木材の匂いは木材に含まれる精油成分に由来しています。木粉やかんな屑を水蒸気蒸留すると液体状の精油が得られます。その主な成分を示したのが右の表です。木材によって精油含有量・含まれる成分の種類が異なります。たとえ同じ成分を含んでいても、樹種が違うと個々の成分組成が異なるので、木材によって異なった匂いがします。
 下の図は、木の匂いが人体にどう影響するかをあらわしたものです。血圧が下がり、脈拍も落ち着くという結果になっており、木の匂いにはリラックス効果があることがわかります。
また、木材精油は、抗菌作用、殺ダニ作用、抗酸化作用、快適性増進作用などの生物活性を有するので、最近はその生物活性をいかして多様な製品にも利用されています。



■薬になる木 〜薬の成分

 植物は、古来より民間薬として用いられており、木の皮や根、草などは日本薬局方(※1)で生薬(※2)のもとに定められています。
 次の表をご覧ください。多くの樹種にいろいろな薬効があることがわかります。
 最近は、さらに従来の薬効のほかの、樹木成分の健康に関わる新たな働き、例えば、「スギの葉や樹皮の活性酸素(※3)を消去する働き」や、「スギ心材のメラニン生成防止効果」、「イチョウの葉の育毛効果」・・・などなど、各地でさまざまな研究が進められています。



※1 日本国内の医療に供する重要な医薬品の品質・強度・純度などについて定めた基準で、薬事法に基づき厚生大臣が制定します。
※2 植物・動物・鉱物などを、そのまま、または性質を変えない程度に切断・破砕・乾燥するなどの簡単な加工・調製をして、薬用に供するもの。漢方薬・民間薬のほか、医薬品原料や香辛料などに広く用いられます。
※3 原子状態の酸素や電子状態が不安定な酸素分子。生体内では白血球の殺菌作用など多くの生理現象に関与し、細胞を直接的又は間接的に傷つけ、老化の一因をつくります。


■木炭パワー
 木炭の歴史は非常に長く、さまざまな遺跡から木炭を使っていた跡が発見されてます。
 縄文時代以前の人々も木炭を使っていたといわれています。
木炭は木を蒸し焼きにして作りますが、製造方法によって呼ばれ方も変わりますが、私たちがよくホームセンターなどで見かけるものは「白炭」か「黒炭」です。
 白炭は消火するときに炭を窯から出し、消し粉と呼ばれる白い粉をかけます。そのため、表面が白っぽくなることから「白・・」といわれます。
 木炭の代名詞ともなっている「備長炭」は、この方法を用い、ウバメガシという樫の木で作られた白炭です。家庭でお風呂に入れたり、ご飯を炊くときや飲み水に入れたりする場合は、主に白炭を用います。
 黒炭は窯の中で消火させるため、見た目にも真っ黒、まさに炭です。バーベキューや暖房など、多くは燃料として用いられます。
 木炭は焚き火と違い、燃やしても煙や炎が出ません。その上いったん火がつくとなかなか消えず、火加減も調節できることから、多くは暖房や調理などの燃料として用いられています。
 木炭からは遠赤外線が多く放出されるため、体は芯から暖まり、肉や魚も内側から熱が通っておいしく仕上がります。
 しかし、木炭は遠赤外線以外にも、除湿・脱臭・腐敗防止・浄化など、たくさんの効果があることから、最近は、家庭でも色々なところに木炭を利用する人が増えています。
 また、木炭自体は無害なので、家庭の中のあらゆる場面で利用できます。
 お風呂や炊飯・水に入れるのはもちろん、例えば、「湿気や臭いが気になる場所に置く」「冷蔵庫の野菜室に入れる」「園芸用や庭のネコよけに使う」などなど、とにかく色々なことに活用できます。
 さらに、木炭の製造過程で発生する水蒸気を集めて冷却したものが、ご存じ「木酢液」ですが、木酢液にも木炭同様の効果があり、特に殺菌力は、木炭以上のパワーがあります。
 木酢液を200〜1000倍に薄めて植物に散布すると、葉が活性化され病害虫に対する抵抗力が高まります。もちろん家庭菜園にもOKです。また、お風呂に入れて入浴すると肌がスッキリスベスベになります。
木炭や木酢液の使い道は、アイディア次第でまだまだ広がります。
 どんどん使って、どんどん健康になりましょう!



■木を食べる
  「木は食べられます」といっても、枝や幹をガリガリと食べるわけではありません。でも、ちょっと思い出してください。
 りんご、みかん、柿、さくらんぼ・・・大抵のくだものは木になります。梅や栗、銀杏などもそうです。
 料理にアクセントをつける香辛料も、多くは木の果実からできています。
 例えば、山椒ははミカン科の落葉低木で、果実が香辛料となります。また、山椒の若葉は木の芽と呼ばれ、香りが強く、料理の彩りなどに使われます。
 胡椒は熱帯アジア原産のコショウ科のつる性常緑低木で、果実を乾燥させて香辛料とします。
 ミカンの皮も乾燥させると、陳皮といって、七味唐辛子に入っている立派な香辛料となります。
 さらに、アイスクリームにも木が入っています。
 アイスクリームには、ガチガチに凍らないように安定剤が入っています。味や風味もさることながら、アイスクリームの良さは、何といってもあの食感です。その食感の素である安定剤に、木などの植物から抽出精製した天然の成分が使用されています。
 いかがでしょうか。普段から木を意識してものを食べることはありませんが、よく考えてみると、木と私たちの食生活には深いつながりがあるのです。


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