2005.12.05
武部建設 様

今回は、「古材」や「民家」で有名な武部建設の武部社長に聞きました。

古材?カラマツ?

カラマツの外壁材
カラマツの外壁材(下見板張り)
 “『道産材』の需要拡大を目的とする当サイトで、なぜ「古材」や「民家」の武部建設が?”と思われる方も多いかもしれませんが、実は、武部建設は10年以上も前から道産「カラマツ」を使っている工務店です。
 使い始めたのは平成6〜8年ごろ、外壁に下見板張りしたのが最初だといいます。カラマツは樹齢の若い木は「ねじれ」や「割れ」が生じやすいのですが、外壁に使う分にはあまり問題になりませんし、北欧材より安かったからだということです。
 外壁材の次はカーポートなど。「ねじれ」や「割れ」で「スキマ」が生じても、強度さえ確保できていれば問題ないからということです。
 そして、最近、ようやっと、室内に使えるようになったといいます。
 今年(平成17年)は、初めて、オールカラマツの住宅を建築されたということです。

「古材」の取組

 「古材」や「民家」そして「カラマツ」の取組など、一見、時流とは外れた奇抜な取組が多い武部建設ですが、その裏には、深い考えがありました。
 例えば「古材」。全国的には古材を扱うところは木材商が多いようですが、武部建設は工務店。古材を売ってくれといわれることもあるそうですが、材料を売ってしまっては自分のところで使うものがなくなってしまう。業務を維持するために、解体の必要のない民家まで解体してしまうかもしれない・・・古材の利用は物をたいせつに長く使うということ・・・使えるものを解体してしまっては・・・。「古材」の取り組みを始めるに当たっては、非常に悩まれたとのことです。
 その結果、明確で芯のとおったビジョンを打ち出し、お客様の信頼を得ることができている。ただ単に「古材」を扱うということだけでなく、そこから波及するさまざまなことを考えて、しっかりと芯を通す。その姿勢はとてもすばらしいものです。
古材の山
古材の山

必然の中のカラマツ

 そんな武部さんの設計する住宅では、常に「必然」であることが求められます。表面的に使用するのではなく、カラマツでなくてはならない「何か」があるのです。環境のこと、地域の資源のこと、カラマツの持つ性質によるもの、住環境のこと、施主の住まい方、法律のこと、お金の面も大事、さらに、数十年後に壊されたときのことまで、さまざまな面から考えて、『カラマツ』でなくてはならないストーリーがあり、一つの『住まい』ができあがります。
 それを支えるのは「大工」。“ウチのやり方を他の建築業者が真似しようとしても構わない。ウチの大工の仕事は誰にも真似できない”とおっしゃるほどの腕利きの大工がそろっており、後継も育っているようです。
カラマツの柱
カラマツの柱。縦に入る切り込みは「背割り」

最先端でどこか懐かしいモデルハウス

 武部建設さんは、「新住協」の熱心な会員でもあります。「新住協」とは、室蘭工業大学の鎌田教授を中心とした、家づくりのための勉強会のようなもので、現在の北海道の高断熱・高気密住宅を引っ張ってきた団体です。
 事務所の裏手にあるモデルハウスは、新住協の確かな技術と、武部さんの「必然」と大工の技の結集。和風建築でありながら、北海道の気候風土にあわせ、高断熱・高気密の性能が確保されています。ビックリしたのは暖房機や換気孔など、金属的なものが見あたらないこと。自然の隙間を利用したり、目立たないところに配置したりと、見た目に配慮しながら、それでも室内環境が快適に保たれるように緻密に計算されています。
モデルハウス入り口
モデルハウスの入り口

モデルハウス縁側
縁側もある

 確かな技術と「必然」、大工の技で住宅づくりをされている武部建設さん。今後もいろいろな展開が期待できそうです。

参考

〔武部建設 様〕

〔カラマツはどんな木?〕



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