製材の定義は、「製材機械によって原木から製材品を木取りすること、または木取りされた製品を指す一般的な 呼称」となっています。 つまり、原木(丸太)を鋸で切断することによって作られる製品のことで、広い意味では後述の押角や太鼓落 なども含まれますが、一般には住宅に使われる角材や板などを指すことが多いようです。 丸太から作られたばかりの製材は水分が多く、そのまま住宅の構造材として使用すると、次第に乾燥して収縮が起こり、狂いや隙間が生じます。このため、製材を柱や梁などの住宅部材として使用する際には、あらかじめ人工乾燥を行い、余分な水分を取り除くことが有効です。 また、木材は天然素材であるが故に腐れが生じやすいので、用途に応じて製材の防腐処理を行います。製材を原料として、集成材や木質内装材などが作られます。
あまり聞いたことのない名前だと思いますが、土木工事などでよく使われる資材です。
間伐材などの細い丸太を原料として作られることが多く、角材を製造する場合と同様に鋸で4面がカットされますが、断面の角の部分には丸太の丸身が残っています。
しかし、鋸でカットされた4面のうち、どの面を下にしても地面からの高さは一定になり、また、原料とする丸太の形状が異なっても、同一の方法で4面をカットすれば、同じ高さ・幅の押角を複数作ることができます。
押角は枕木のように敷き詰めて土管を設置する際の土台に使用したり、土砂の流出を防ぐ枠体など簡易な構造物の部材として利用されています。
押角とともに土木工事などでよく使われる資材の一つです。
押角は鋸で4面がカットされていますが、太鼓落は上下2面のみがカットされたものです。この断面の形状が太鼓に似ているのが名前の由来です。
鋸でカットされた面を下にして敷き詰めれば、一本一本の幅は異なりますが、高さは同じになるので、よく土木の基礎工事などに利用されます。
丸太の一方の端を先削りしたもので、土木工事、建築工事などの基礎杭として利用されています。工事の種類や用途により、使用する杭丸太のサイズ(太さ、長さ)は異なります。
製造工程はやや複雑ですが、端的に言えば、ラミナと呼ばれる板を接着剤で縦方向・横向につないで作られる製品のことです。
造作用集成材や構造用集成材、構造用大断面集成材などの種類があり、ラミナのジョイン方法や接着剤の種類も様々です。集成材は間伐材などの細い丸太を原料としても製造が可能であり、もとは細くて小さな丸太であっても、ラミナを何枚もつなげれば、大きな寸法の製品を製造することができます。
また、集成材は一般の製材よりも強度や寸法安定性等に優れているほか、曲げ加工が比較的容易にできるので、デザインのバリエーションに富み、わん曲した製品を製造することも可能です。用途としては、大型木造建築物の構造材(柱、梁)やカウンターテーブル、階段部材などに利用されています。
CLT(Cross Laminated Timber)とは、ひき板(ラミナ)を隙間なく並べ、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。
従来の木質系材料よりも大きな過重に耐えられることから、海外では中高層建築物がCLT構造で数多く建設されています。
RC造に比べて軽量で工期短縮や環境負荷低減が可能なことから、国内でも急速に普及しています。
道内でも、協同組合オホーツクウッドピアが2016年からCLTのJAS製品を製造しており、2019年度までに6棟のCLT建築物が建設されています。
円柱加工機という特殊な機械により、きれいな円柱に仕上がるように材の端から端までの径を均一にし、表面をなめらかに加工したものです。製材から作られるものと、丸太から直接作られるものがあります。用途としては、木製遊具やフェンス、看板、ログハウスの部材などとして利用されています。
住宅の内装用として床に使用されるフローリングボードや壁に使用される羽目板などのことです。
床材は無垢材や集成材を使用した単層フローリングと基材に合板などを使用した複合フローリングに大別され、形状や色合いなど種類が様々あり、床暖用タイプもあります。壁材についても製品は多種あり、羽目板や集成壁材、化粧合板などがあるほか、住宅の外壁に使用するログ風の壁材もあります。
住宅の内装を木材で仕上げるとやさしい雰囲気になり、木材は紫外線を吸収することから、目の疲れを抑えるなどの効果があるので、最近では学校の校舎や集会所などの公共施設で使用されるケースが多いようです。
経木とは木材を薄く削りとった板のことです。むかし、お経を書くためや記録用として紙の代わりに使っていたのが名前の由来です。
経木は、製材を大きなカンナ状の機械にかけて得られます。この経木から弁当箱(駅弁用等)や菓子箱などの折箱が作られます。
経木から作られた折箱は、通気性や調湿性を有するほか、木材(特に針葉樹)には殺菌成分が含まれていることから、食品の腐敗を防ぐという特性を持っています。ちなみに経木は英語で「woodshavings」(かんなくず)と訳されますが、廃棄後に焼却しても有毒ガスが発生せず、埋め立てに回ってもバクテリアにより分解されて土に還るなど、決してくずとはいえない環境にやさしい製品です。
屋外で使用する木製品のことで、最近流行しているガーデニングの関連製品や屋外用テーブル・ベンチ、デッキ、庭や公園の地面に敷き詰める木レンガなどがあり、大きなものではパーゴラやあずまやなどもあります。
屋外に設置することから、防腐処理または耐候性の塗料が塗布されている製品が多いようです。
製材や集成材を原料として、家具や木製ドア・サッシなどの建具類、木工クラフト製品などが作られます。
大木から得られた一枚板を使ったテーブルもありますが、最近ではテーブルの天板や収納家具等に集成材を使用する場合が多くなってきました。木製ドア・サッシは断熱性に優れており、結露が生じにくいなどの特徴を持っています。クラフト製品の種類は様々で、玩具や文房具、食器類、肩たたきなどの健康器具、壁掛け、置物などがあり、自分で組み立てるキットタイプの製品も販売されています。
そのほか、製材を原料として生産されるものには、野球で使うバットや魚箱などがあります。
種々の方法により、原木から製造される薄い板のことで、「ベニヤ」ともいわれます。
製造方法による区分として、丸太を回転させて大根のかつらむきと同じ方法で切断されるロータリー単板、平らな製材の表面からカンナで削るように取り出したスライスド単板、鋸で挽きだしたソーン単板があります。前述の経木も単板の一種に含まれます。単板を原料として合板やLVLが作られます。
単板の繊維方向(木目の方向)を1枚ごとに直交させて奇数枚重ね、接着剤により接着した板のことです。
一般の合板製造には、丸太からの製品歩留まりが高いロータリー単板が用いられます。
特殊な合板として、芯板(コア)に製材を使用したランバーコア合板や紙を使用した軽量合板、耐水性や耐熱性などを有する物質で表面をコーティングしたオーバーレイ合板などがあります。
合板は単板の繊維方向を互いに直交させて重ねるのに対し、LVLは単板の繊維方向が互いに平行になるよう重ねて接着したものです。
特徴としては、寸法や形状、デザインのバリエーションに富むなど、集成材が持つ特徴に似ていますが、このほかLVLは製品の歩留まりが高いことなどがあげられます。
木材チップとは、木材を機械的に小片化したものです。
木材業界では、丸太そのものを細かく砕いて生産されるものを「山棒チップ」、製材工程において生じる丸身を帯びた残材(背板)を原料として生産されるものを「背板チップ」と呼んでいます。
紙の原料として利用されていることは有名ですが、地面に敷いてその上を歩くと、心地よいクッション性があるため、最近では公園の遊歩道や競走馬用のトラックなどに敷かれる事例もあります。
また、緑化樹などの周りに敷いて雑草が生えないようにする被覆材(マルチング材)としての利用や、畑・水田の排水機能を高めるために整備する暗渠(地下排水路)の疎水材として利用する事例もあります。
木材を種々の方法で細かくほぐして、繊維の集まりの状態にしたものが木材パルプです。個々の繊維の長さは針葉樹で2~4mm程度、広葉樹で1mm前後です。
木材パルプは製造法により区分され、木材を機械的にすりつぶして作られる機械パルプ、木材を化学薬品で煮て作られる化学パルプ、これら両者を併せ持った半化学パルプの3種があります。
ほとんどの場合、木材チップを原料としてパルプが作られますが、細めの丸太を大きな回転砥石ですりつぶして作られるグラウンドウッドパルプ(GP)という種類もあります。なお、パルプとは英語で「どろどろになったもの」の意味で、水を含んだ出来たての木材パルプは、まるでお粥のようです。
木材パルプを水中に分散させて網に取り、これを乾燥すれば紙が出来上がりますが、現在では、抄紙機という大きな機械により紙が製造されています。
新聞用紙の主原料としては針葉樹の機械パルプ、上質紙の主原料としては広葉樹の化学パルプなど、紙の用途により原料とする木材パルプは異なりますが、最近では古紙パルプや木材以外の繊維を原料とする製品も多くなってきました。
クラフト紙などは木材パルプ本来の色を呈していますが、白さが要求される上質紙などは漂白されたパルプを使用しており、さらに表面は細かく砕いた白い物質(タルク、クレー等)をコーティングしています。
木材を繊維化してから成形した板状の製品を総称してファイバーボードと呼んでいます。
ファイバーボードの原料としては、木材チップや製材工場等の残廃材を高圧の水蒸気の存在下で機械的に繊維化されたものが多く使用されています。
密度の違いによりインシュレーションボード、MDF(Midium Density Fiberboard)、ハードボードの3種に分類されています。各分類ごとに用途が異なりますが、住宅の床下地用や家具用として利用されており、特に曲げ加工などの二次加工性に優れたハードボードは自動車の内装部品としても利用されています。
木毛とは、長さ20cm以上に切断した木材を原料として、幅3.5mm、厚さ0.3~0.5mm程度に切断されたひも状の製品です。
後述の木毛セメント板の原料以外に、ぬいぐるみを作る際に詰め物として利用したり、箱詰めの食料品等の緩衝材などとして利用されています。
木毛とセメントを用いて圧縮成形した板で、防火性を有し、比較的軽量であるほか、断熱性や吸音性を備えています。
使用する木毛の樹種は、セメントの硬化阻害を起こさないマツ類やトウヒ類などが使われています。関東大震災後に復興資材としてドイツから輸入され、これを模して昭和初期から国産化されており、工場や学校などの屋根や壁の下地材として利用されています。
木毛セメント板のほかに、木材と無機材料を組み合わせた複合資材としては、木片セメント板やせっこうパーティクルボードなどがあります。
木材を細かく削ったものには、小さいものから順にファイン、シェービング、セミ・フレーク、フレーク、ウェファー、ストランドという種類があります。
このうちストランドとは、厚さが0.4~0.6mm、長さ40~80mmの長方形状(幅が長さの 1/3以下)のものを指し、丸太を原料として製造されます。
繊維方向が概ね一定方向になるように並べたストランドの層を、合板の製造と同様に、互いに直交するように重ねて接着剤により成板したもので、3層構造や5層構造のものがあります。
住宅の下地用資材として利用されますが、現時点では日本にOSBを製造している工場はなく、北米からの輸入が大半を占めています。OSBと同様の製品に、ストランドをランダムに並べて成板したウェファーボード(WB)という製品もあります。
パーティクルボードの原料となる木材小片は、木材チップや製材、建築廃材などを原料として、リング・フレーカーという切削機により製造されます。得られる切削片の寸法は小さく、形状は不均一です。
木材小片に接着剤のスプレーをかけ、一定量ずつ成型し、高温下でプレスしたものです。
全て同じ形状の小片から製造される単層ボード、表層と芯層(断面における中心の層)で小片の形状が異なる3層ボード、芯層から表裏層に向かって小片の大きさが連続的に小さくなっている多層ボードなどの種類があります。
主にローボードやキャビネットなどの箱物家具の材料として利用されており、そのほか住宅用下地材としても利用されています。
いわゆる鋸屑のことで、製材等を製造する際の副産物として得られるほか、細い丸太から直接作られる場合もあります。
粉状になっていることから表面積が大きく、においや水分を吸着するという特性を持っているので、最近では、牛の寝わらの代わりにオガ粉を使用する事例もあります。
また、きのこ栽培用の菌床や堆肥の原料としても利用されているほか、特にヒバやヒノキのオガ粉は良い香りがするので、袋に詰めて湯舟に入れたり、消臭材として利用されています。
木の皮のことで、バークとも言われます。丸太から製材を挽く際などには、丸太に付着した砂利等による鋸歯の損傷を防ぐため、あらかじめ外側の樹皮をむいてから製材を行います。
このため、製材や山棒チップの副産物として樹皮がでてくるわけですが、堆肥の原料や家畜の敷料などととして有効利用されています。
樹皮を原料としたバーク堆肥は、土壌改良材として造園や園芸用に利用されています。余談になりますが、ワインの栓などに使うコルクは、南欧原産のコルクガシという木の樹皮なのです。
アウトドアでのバーベキューなどで使用するお馴染みの燃料です。余分な酸素が入らないように、窯の中で木材をじっくり燃やして作ります。
窯の中で消火して得られる「黒 炭」と、窯の外で消粉(けしこ)という白い粉をかけて消火する「白炭」などの種類があります。白炭の代表的なものに備長炭があり、ウバメガシを原料とした非常に硬い木炭として有名です。
木炭は燃料としての利用のほか、においや水分を吸着するので、消臭材や調湿材などとしても利用されています。
木をいぶすときに発生する煙を冷却し液体にしたもので、木炭を作る際に副産物として得られます。色は赤褐色で、酢酸が比較的多量に含まれており、薫製のようなにおいがします。香料としての利用もありますが、脱臭効果があるので生ゴミや家畜などの脱臭剤として利用したり、草花の虫よけや入浴剤などとしても利用されています。
木の香りは精神を安定させ気分をリラックスさせる効果があるほか、細菌やダニの発生を抑制する作用があります。
この木の香りは、木材に含まれる精油成分によるもので、俗にフィトンチッドと呼ばれています。
樹種により精油の含有量とその成分の種類は異なりますが、有名なものではヒバから得られるヒノキチオールやクスノキから得られるカンファー(樟脳)があり、芳香剤や防虫剤などとして利用されています。
このほか木材からは、アイスクリームの安定剤(キサンタンガムなど)やキシリトールの原料となるキシラン・ヘミセルロースなどの成分が得られます。