建物の損壊から多くの犠牲者が・・・阪神・淡路大震災の事例から

阪神・淡路大震災では、17万棟以上の家屋が倒壊し、7千棟の家屋が焼失しました。そして、5千5百人の方々が亡くなり、3万5千人のいたましい犠牲者がありました。
亡くなった方の9割が「建物の損壊による圧死、窒息死、焼死」と報告されています。
地震の被害を受けると、建物はどうなるのか、阪神・淡路大震災の事例から検証してみましょう。

「建物」が悪いためにおきた被害―

耐力壁の不足のため壊れた家
壁がぼろぼろにつぶれている家

大震災では、戦前または戦後すぐに建てられた古い住宅の多くが被害を受けました。
それは、1950年の建築基準法制定以前の建築物のため、基礎や土台が簡素なつくりで、壁には補強となる筋かいや間柱が入っていないといった、揺れに弱い構造の家が大半だったと言われています。

「立地」が悪いと―


扇状地の扇端部分(小石やあらい目の土が堆積してできた層の海側端部)、緩扇状地(低地に土砂がたまり、水はけが悪く軟弱な湿地帯)の山側にあった住宅の多くが被害を受けました。
軟弱な地盤は地震の揺れを何倍にも大きくしてしまいます。

「手入れ」が悪いためにおきた被害―

第二次世界大戦の戦災からまぬがれた住宅の多くが被害を受けました。老朽化した家を修復しながら使用していたため、大部分が今回の震災に耐えきれなかったのでしょう。
白アリの被害や、木材の腐食のひどかった家の多くも被害にあっています。
白アリ駆除や木材の腐食防止処理など、適切なメンテナンスを行っていた家は被害の程度も軽かったと報告されています。
建物に被害を与える三つの条件
地震による建物被害は、数多くの要因がからみあうことによって起こります。それらを三つに大きく分けると次のようになります。
 1.建物
 2.立地
 3.手入れ

この三つの条件の重なり方によって、被害に差がでてくる訳です。

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