ニセコのK邸
今回は、羊蹄山やニセコアンヌプリに囲まれた自然豊かな倶知安(くっちゃん)に、羊蹄山麓のカラマツ材で建てられたK宅を訪問しました。
ニセコに住もう
山歩きが趣味の施主夫妻は、道内の山々を歩きまわり、終の住まいの地としてニセコアンヌプリの麓の倶知安に辿りついたそうです。周りを樹木で囲まれた敷地は、ニセコアンヌプリやイワオヌプリが正面に見え、樹木の彼方に羊蹄山が見えるところで、ロケーションを活かし、家の中に居ながらにして景色を楽しめるような住まいを造りたいと考えていました。
地元の建築設計事務所「(株)E・F・Hコンサルタント」の榊さんと知合い、「周囲の自然景観にマッチした住まい」「地元の材料を使った住まい」「安全で安心のできる住まい」をコンセプトとしたK宅の設計が進められ、ニセコアンヌプリのパノラマが一望にできる大きな窓、家を一周できるウッドデッキ、既に購入していた大きな食卓テーブル(旭川家具)に合わせたダイニングなどとプランや夢が膨らんでいったそうです。
羊蹄山麓のカラマツを使う
地元の建築材料として、カラマツやトドマツなどの木材があり、榊さんの勧めでカラマツを使うことになりました。カラマツは、堅くて・ねじれ易く・ヤニが多いという欠点があり建築材料として敬遠されていましたが、木が大きく育ち太い材が取れるようになったことや、乾燥技術が進んだことでその欠点が解消され、逆に、強度が強く・耐水性があるという長所を生かして集成材などとして木造住宅材料に使われていると説明を受け納得したそうです。
また、京極町にある「ようてい森林組合」の工場に、カラマツ集成材の原料であるラミナ材の製材過程を見学したり、地域でカラマツを育ててきた清水組合長さんの話を聞き、カラマツへの思いが強くなったそうです。
何よりも、自分が暮らす住まいが、同じ土地で、同じ風土で育った木で造られるという、ごく自然な行為(=地材地消)が気に入ったそうです。(昔は、裏山の木で家を建てるのが一般的でした。)しかも、使われる木を事前に見ている施主は、そんなにいないでしょうし、どこで育った木か知っている人もほとんどいないと思います。
カラマツは、集成材として骨組みである軸組み材にメタルフィット工法で組立てられており、柱や梁の一部はそのまま表して使われています。また、壁・天井の羽目板や手すりとしても使われています。
地域の材料という枠を広げて北海道産で考えると、内壁は稚内珪藻頁岩を原料とした塗り壁(北のやすらぎ)・タイル(豊ヘルス)、床暖房用の無垢のフローリングは栗山産など地域の材料で自然素材の健康な材料を積極的に使っています。
クマゲラのご挨拶
住みはじめて3ヶ月、正月を過ぎたある日、コツコツとリズミカルな物音が天井裏の方から聞こえてきたそうです。最初は木材が乾燥している音なのかと思ったそうですが、テラスから外に出て見るとクマゲラ(キツツキの一種)が外壁の羽目板に穴を開けていた音であることが分かりました。自然と一体となった住まいにクマゲラが遊びに来たようです。楽しいことですが、壁に穴を開けられるのは困ったもので、上手く友達になっていけるといいのですが・・・。
雪融けの春には、敷地内に木を植える予定とのことですので、もっと鳥たちが訪れるでしょう。
参考資料
K宅に使用した木製品
[オホーツクウッドピアの集成材](ラミナはようてい森林組合)
[久保木工の木製サッシ・木製建具]
[松原産業のフローリング]
地材地消(ちざいちしょう)とは
[地材地消]
設計・施工管理
(株)E・F・Hコンサルタント(efh@bj.wakwak.com)
施工
横関建設工業(株)