2005.11.01
松田邸

待望の「カラマツの家」ができました!
カラマツの家外観

「カラマツ・無垢・心去り」

カラマツ無垢心去りの梁
 「カラマツ・無垢・心去り」と聞いても、ほとんどの人は何のことだかさっぱりわからないと思いますが、林業・木材産業・住宅産業など、住まいの作り手が望んでいた、ある“住宅資材”のことです。
 『カラマツ』とは、木の種類で、針葉樹の中では珍しく冬は落葉するため「落葉松」と書かれることもあります。道内の人工林面積の3割を占める、林業界にとっては重要な樹種です。
 『無垢』とは、某企業のテレビCMでも「無垢だから〜」と使われていますが、接着剤などを使っていない、丸太をただ切断しただけの住宅資材。シックハウスの原因となる接着剤等の化学物質をまったく使っていません。
 『心去り』とは、丸太を切断する際に丸太の中心部(心)を取り去って作ること。カラマツは「心」の部分の繊維が強くねじれているため、「心」がある部材はねじれやすく、「心」を取り去った部材はねじれにくくなります。

「待望」?

 この「カラマツ・無垢・心去り」というのが「待望」されていたのは、よいものだと予測されながら、今まで生産不可能だったからです。長野(信州)には天然のカラマツがあり、建築材として高い評価を得ていますが、道内の天然林にはカラマツがなく、人工林では成長が未熟で細く、建築材として使うには高度な加工が必要になったり、「心」を取り去る使い方ができませんでした。
 ところが、近年、道内のカラマツも十分太く成長し、やっと「無垢・心去り」の材を生産できるようになりました。
 平成17年には、始めて、この部材をあらゆる構造部・内装等に使用した戸建住宅「カラマツの家」が札幌市内に建ちました。

「こんないいものがあるなんて知らなかったもんなぁ」

 この「カラマツの家」の木工事を担当した堀川棟梁は言います。木は割れるのが当たり前。スギでもトドマツでも施工中から「ピシッ」という音がするのが普通ですが、この「カラマツ・無垢・心去り」材は、その音や割れが非常に少ないとのこと。「それだけ粘り強いってことじゃないかい」「色も良いよね」「スギにも負けないわ」とほめ言葉が続きます。“こうすればもっと良くなる”と、まだ何も決まっていないのに、もう次の「カラマツの家」の施工方法を考えていたりします。
美しい小屋組み(母屋角も束もタルキもカラマツ無垢心去り)

美しいカラマツ

 『カラマツの家』の売りはなんといってもカラマツの美しさ。木目がはっきりしており、赤みがかっています。同じく天然素材の珪藻土との組み合わせも抜群。木材の大敵は「結露」ですが、珪藻土は大きな調湿効果で結露を抑えます。もちろん木材にも調湿効果はありますので、住宅全体の調湿能力が高まり、快適な住空間になります。機能的な面以外にも、色合いや質感もぴったりです。日本の伝統的な建築は木と土の建築でした。カラマツ(木)と珪藻土(土)の組み合わせは、和風の、落ち着いた風合いとなります。
 「カラマツの家」では道内企業「(株)シリックス」様の珪藻土を使用し、施主が自ら塗りました。
カラマツの柱・梁と珪藻土の壁
カラマツの柱・梁と珪藻土の壁

「自信を持ってお客様に奨められます!」

 この「カラマツの家」の施主である松田さんは、設計事務所を経営されており、当然、自宅は自分で設計・施工管理されています。「カラマツ・無垢・心去り」材を使った理由は、道内の森林が成熟してきており、新たな活用を求めていることや、地域で生産されている資材を使えば地域の環境保全や経済発展など、地域社会に貢献できることなどですが、カラマツは今までは「使えない」とされてきた樹種。いきなりお客様の住宅に使うには不安があり、ちょうど自宅を建て替える予定もあり、先ずは自宅で使ってみて、しばらく住んでみて、“これなら責任を持って奨められる”と確信を得てからお客さんに奨めようということでした。
 「カラマツの家」はまだ竣工したばかりですが、すでに品質の良さは明らか。今後も変化があるかもしれませんが、対応を考えながら「自信を持ってお客様に奨められます!」と松田さんは太鼓判を押します。もちろん、これからも観察はずっと続けていくつもり。お客様にも事例を見せながら、納得してもらえそうです。
カラマツの家内部

参考資料

  建築データ

設計・施工管理:松田建築設計事務所(違う画面で開きます)
竣工:平成17年9月
住所:札幌市南区
延べ床面積:約27坪

  松田邸に使用した木製品

[丸善木材のカラマツ無垢心去り材]

  カラマツについての詳しい情報



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