2004.07.05
道北振興(株) 様

カラマツの柱が見える居間

 今回は、道産カラマツを活用した住宅建設を行っている道北振興(株)の佐々木さんお話を聞きました。

カラマツが標準

カラマツの柱が見える和室  道北振興さんのホームページを見ると、トップページに「オーダー住宅カラマツの家」と書かれています。年間の建築戸数は120〜140棟といいますが、そのほとんどが道産カラマツを活用した住宅であるといいます。
 建築現場は本社のある旭川を中心とした道北圏と、支店のある小樽を中心とした道央圏に限っているそうです。将来的には全道規模の展開も視野に入れているようですが、現時点では建築現場および建築棟数は現状維持のままで進めていくそうです。「いきなり手を広げたらすべてに目が届かなくなる。目が行き届かないと、住宅の品質を落とすことにつながり、お客様に迷惑をかける」とおっしゃる佐々木さんの言葉には、、高品質住宅へのこだわりが感じられました。
 使用するのはカラマツの集成材。柱・梁などの構造材に積極的に活用されているようです。
 お客様の中には、カラマツを使うことを疑問に思う方もいらっしゃるようですが、きちんと説明すると、カラマツはいいものだと理解してくれると言うことでした。
 残念ながら、世間の建築の主流は、柱や梁を隠す『大壁』づくり。でも、モデルハウスで柱や梁を見せる構造にしたところ、お客様の中には、見せるつくりを要望される方もあるそうです。

安心して使える

カラマツ部材の接合部  カラマツを標準設計に取り入れた理由は、安心して使える資材だから。これまで、カラマツは“曲がる”“反る”“ねじれる”などの欠点があるとされ、嫌われてきました。これは『旋回木理』といって、カラマツの繊維がねじれているために起こる、カラマツの特性です。しかし、カラマツが太く成長してきて、そもそもねじれが強くない材が生産されてきていること、乾燥などの技術が進んできて、ねじれをおさえることができるようになってきたことなどから、これらの欠点はほとんどなくなったといえるでしょう。
 また、“重い”とか“堅くて釘が打ちづらい”などの特徴も言われていますが、逆に言えば、それだけしっかりとした部材で、接合もしっかりとできるということ。大工さんには嫌われるかもしれませんが、数十年という住宅の活用期間から考えれば、むしろ長所とも言えるべきことだといいます。
 道北振興さんでは、カラマツ集成材を使い始めてから、アフターメンテナンスの件数が減ったそうです。また、柱の間隔を広くするなど、ちょっと無理のある構造にする場合でも、設計者自身も不安がなくなったといいます。法律によれば、木造在来工法では構造計算が不必要とされていますが、今後は構造計算も取り入れ、数値的にもカラマツのよさを示すようにするとのことです。

在来が一番。どうせ作るなら集成材。その中でもカラマツ集成材

 木造建築物にもさまざまな工法がありますが、佐々木さんは、日本の風土や生活様式には在来工法が一番合っているといいます。集成材を使うと在来工法のメリットをよりよく生かすことができるそうです。その中でも、カラマツの集成材は、地元の木材であることに加えて、強度・性能が優れており、お客様に強くお勧めしたい部材だといいます。


 道内の木材自給率は4割。全国平均の2割を大幅に上回っているとはいえ、まだまだ少ない状態です。戦後の高度経済成長期にいっぺんに木を伐ってしまって、その後しばらく生産できるものがなくなってしまったことが原因ですが、あれから40年、今や森林の資源は充実し、道産材の潜在的な供給力は復活しつつあります。ふと足元を見ると、技術は格段に向上。世界に勝るとも劣らない道産の建築部材が生産されています。地域の資材を見直して、これからも積極的に道産材を使っていただきたいですね。

参考資料

[道北振興(株)]

[部材を提供している佐藤木材工業(株)]

[カラマツはどんな木?]
そのほかの「道産材へのこだわり」はこちらから

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