
地域材の活用にむけて
『地域の木材を使って、家具をつくる』当たり前のように思えることが意外と難しかったりします。
実際、これまでの国産家具は輸入材によるものが多く、国産材の活用は一部の地域や個人工房に限られた動きでした。
しかし、近年、全国各地で地域材を活用したプロジェクトや研究会が発足するなど国産材への期待が高まっています。
産地の歴史と木材資源
旭川の家具産業の発祥は明治中期とされ、師団建設に伴う本州からの建築・建具職人の移住、鉄道の客車整備を目的とした木工場の設立によって机・椅子等が製造されたことが産地形成に繋がっていきました。
家具産地として発展した要因の一つに、寒冷地の厳しい自然条件に育まれた良質な北海道産木材(以下:道産材)の集散地であったことが挙げられます。
家具産業が誕生した約100年前から昭和40年代までは、主に道産材(ナラ、カバ、タモ、ニレ等)を活用していましたが、輸出用材として大量代探したことで資源が減少し、長年、ロシアや北米等からの輪入材に頼る状況が続いていました。
ここの木の家具・北海道プロジェクト

可能な限り輸入材を減らし地域材を活用することを目的に、旭川家具工業協同組合では2014年に「ここの木の家具・北海道プロジェクト』をスタートさせています。
このプロジェクトにおける木材利用の定義は「北海道で伐採された広葉を使用する」および『家具の外観表面の80%が進産材」と、より多くのメーカーが参加しやすく、ユーザーにもわかりやすいよう、とてもシンプルなものになっています。
北海道に木工業が生まれた頃のように「近くの山から代り出した木で家具をつくりたい」という想いを共有しながら、林業や製材業など全体でこの取組を推進しています。
地域材のこれから
枯渇が懸念されていた北海道の森林資源が回復傾向にあることに加え、ユーザーからの『道産材による旭川家具」を期待する声に後押しされて実現したプロジェクトですが、このような取組は家具業界だけの努力だけで成立するものではありません。
自然環境との共生のため健全な森林を育て守っている林業、木材の安定的供給のため川上と川下をつなく役割を担う製材業との連携が、今後ますます重要になると考えられています。
また、地域の特性やアイテムに適した木材を確保するためには、この連携を経済活動として成立させ、各業界において将来の担い手を育成する必要があります。そして、その継続的な取組が『循環型ものづくり」の形成につながるものと期待されています。
ここの木家具・北海道プロジェクト
[運営]旭川家具工業協同組合
[開始]2014年
[定義]木部の外観表面の80%以上が北海道で伐採された広葉樹であること
[公式サイト]https://asahikawa-kagu.or.jp/kokonoki/
Writing:旭川市工芸センター 青木繁尚
(※「道産木材2021」掲載)