
「道産材のショールーム」として、都市部の人に木材の魅力をアピール。
北海道の森林組合を会員とする組織の新事務所として、道産材を使用した木造建築は当然のことでした。道産材普及の一助になればという思いから、「建物そのものが道産材のショールーム」というコンセプトのもと、構造や内装材、外装材まで100%道産木材を使用しています。
使用した道産材のうち6割強がカラマツ、2割強がトドマツ、残りが道南スギと広葉樹で、主にカラマツは構造材、トドマツは下地や内装に用いています。構造材に用いたカラマツは、道内78の森林組合が育てた木材を組合の製材工場でラミナに加工し、道内民間工場で集成材にしたものです。

また、札幌市内中心部にある建設地は準防火地域に指定されており、延床面積が500㎡を超えるため、45分間の耐火性能を持つ準耐火建築物とする必要がありました。石膏ボードで覆う工法では木造の良さが伝わらないと考え、表面が炭化し燃えにくくなる厚さをプラスして、構造材も見せることができる「燃えしろ設計」を採用しました。1階の壁には厚さ90mmのカラマツCLTパネルを用い、軸組と合わせた耐力壁を現しで見せる機能を持たせ、燃えしろ設計による準耐火構造としています。

都市部の人に木材の良さをアビールするため、エントランスホールに道産材木製カーテンウォール、集成材の梁・柱を見せるデザインとし、内部にも木がふんだんに使用されていることが外からでも分かるよう工夫しています。外壁も、隣地側以外は全て道南スギとカラマツを使用した木板張りにしました。樹種と張り方を変えたパッチワークデザインで、通りがかりの人が写真を撮るほどのデザイン性に満ちた外観も道産材をアビールするポイントの一つです。

事務所玄関入り口正面と階段下面部には、樹齢110年のカラマツ人工林の板が使われています。この板は、日露戦争後に円山公園に植えられた道内で最も古いともいえるカラマツ人工林から産出された木材で、カラマツが内装材にも利用できることを普及する目的で使用しました。また、2階事務所は樹木を模したデザインのルーバーにカラマツ集成材、壁にトドマツのルーバー等、森林組合らしさを考えた内装が好評を得ています。
柔らかく温かな印象を与える木造化・木質化は、どのような用途の建物でも大きなメリットになります。北海道林業の象徴的な建物として、多くの方々に木材の温かみや快適さなどが感じられる事務所となりました。
Data
施設名/北海道森林組合連合会
所在地/札幌市中央区北2条西19丁目1番地9
構造及び階数/木造(軸組工法)地上2階建て
建築面積/440.55㎡
延床面積/834.9㎡
竣工年月日/2019年7月26日
建設主/北海道森林組合連合会
設計者/株式会社岩見田・設計 構造:株式会社クライメックス、株式会社シェルター建築設計事務所
施工者/郷土建設株式会社
[道産木材の使用量と施工状況]
構造材/188.457㎥うち道産材188.457㎥(カラマツ、トドマツ)
内装材/36.651㎥うち道産材36.651㎥(カラマツ、トドマツ、ナラ、カバ、シナ、タモ、セン、ニレ、クルミ)
外装材/10.407㎥うち道産材10.407㎥(カラマツ、スギ、タモ)
[資材の調達方法]
・集成材及びCLTは道内森林組合の製材工場から北海道産カラマツラミナを調達し、北見市の「オホーツクウッドピア」で製造。CLTや梁などの大きな材は「オホーツクウッドピア」、小さな梁や柱などは苫小牧市の「北海道プレカットセンター」でそれぞれ加工。
・間柱、垂木などの二次部材は北海道産のトドマツ材を使用。
[施設概要]
北海道内の森林組合を統括する北海道森林組合連合会の新事務所ビル。「道産材のショールーム」をコンセプトに、構造材から外壁の羽目板や仕上げ材のフローリングまで、可能な限りの部材に道産材が使用されている。
Builder’s Voice
木材は屋外に弱いのがデメリットですが、木の特徴を熟知している建築主さんなので、定期的に外壁の塗装が必要なこともご理解いただきました。この事務所のように、木のぬくもりや味わいを感じさせる建物があちこちで見られるようになれば、木造建築を考える人も多くなることでしょう。「道産材のショールーム」として、北海道の木造化・木質化の普及に役立てることができれば幸いです。
[株式会社岩見田・設計]
(※HOKKAIDOWOODBUILDING2022掲載)