住宅用木材について、
木と健康の関係やメンテナンス法について解説しています。
『木』=『健康』といい切ってしまえるほど、
木は健康に良いところがいっぱいなのです。
はじめに、木と健康を結びつける特徴をいくつかあげていきます。
特徴その1: 湿度を程良く調節する
特徴その2: 断熱効果・保温性がある
特徴その3: 雑菌を寄せつけない
特徴その4: ダニ・カビの繁殖を抑制する
特徴その5: クッション性がある
特徴その6: 目が疲れない
特徴その7: 音がまろやかに聞こえる
特徴その8: リラックス効果がある
特徴その9: 温もりがある
特徴その10: 薬になる ・・・etc
などなど、特徴といっても、木が心身に与えてくれる影響は、特別インパクトもなく、大袈裟なものでもありません。
しかし、どれ一つとっても、私たちが健康で快適な生活を送るために十分すぎるほどの条件です。
特に、生活の大半を過ごす家などは、木を使い、木の特徴をうまく利用することさえできれば、それだけで健康的な生活が送れるということになるのです。
木の働きに関心が薄い私たちは、家の中を快適にするために「除湿器、加湿器、カビ取剤、カーペット、芳香剤・・・」などと、いろいろな機械や道具を使っています・・・が、もう一度木の特徴をご覧ください。
通常、機械や道具の用途は一つです。多くてもせいぜい三つくらいのものです。
でも、木は木だけの力で、こんなにたくさんのことができてしまいます。
つまり、機械や道具は木をほんの少しサポートする程度のものがあれば良いというわけです。
ということは、木の家は健康に良いばかりか、非常に経済的だともいえます。
また、いくつかの特徴から、木は精神的にも良いことがわかると思います。
木が発散する香りや成分、木の色や模様、手触りなどが、私たちの疲れをやわらげ、リラックスさせてくれます。
しかも、特別なことはしなくても、森林に出かけるだけ、もしくは木の壁を眺めているだけでも十分な効果を得ることができます。
これらが健康に良いといわれる「木」の特徴です。
『癒し』・・・近頃テレビや雑誌などで、とにかくよく見る言葉NO.1です。
ちょっと前までは、顔のタイプを分けるときに「しょうゆ顔」「ソース顔」などどいっていたのが、最近はそれに「癒し顔」というタイプまで加わってしまうほど、本当に癒しという言葉が大ブレイクしています。
本来の癒しの意味は、病気や苦痛、悩みなどをなおすことです。
これほどまでに、癒しという言葉が流行しているのは、見た目には健康そうでも、身体や心に悩みを抱えている不健康な人が、本当は多いということなのでしょうか。
さて、本題の「木の癒し効果」のお話です。
森林の中に入ると、何ともいえない木のすがすがしい香りとともに、気分が自然とリラックスしてきます。
これこそ、木の癒し効果です。
木の香りの成分は『フィトンチッド』といって、血圧の低下や脈拍を落ち着かせるなどの効果があります。
フィトンチッドの効果は、木が伐採され、木材・木製品になっても変わらず続きます。
ですから、住宅の床や壁を木にしたり、部屋の中に木製品があるだけでも、森林さながらのリラックス効果を得ることができます。
また、木の模様や肌触りにも、ストレスホルモンを低減させる効果があります。
普段使うものを木製品に替え、目につきやすい場所に木目が見えるものを置くなど、ほんの少しのことでも抜群に気分が良くなるはずです。
色々な種類の癒しグッズの前でどれにしようかと迷ったら、まず「木」を選んでみてください。
私たち人間はもちろん、ほとんどのものは、呼吸などエネルギーを消費するときには酸素を必要とし、二酸化炭素を排出します。
このことは、木などの植物も同様です。
一度排出された二酸化炭素は、もうエネルギー源にはならず、どんどん大気中に溜まり地球温暖化を引き起こすなど、自然環境を悪化させます。
しかし、木などの植物は『光合成』といって、大気中の二酸化炭素を葉から吸収し、根から吸収した水とともに、太陽エネルギーを利用して有機物(炭水化物)を合成し酸素を放出する能力を持ちます。
これこそ、木の存在を考える上で、忘れてはならない重要なことです。
木などの植物が成長しているときは、光合成による酸素の生産量が呼吸による消費量を上回っています。
つまり、光合成が活発な若い木ほど、酸素を多く放出する、とても素晴らしい存在といえます。
では、成長が止まった木はというと、光合成による酸素の生産量は次第に減少し、呼吸による酸素消費量と同じになっていきます。
さらに、酸素の生産量が減少し、消費量が上回ってくると、木は枯れてしまいます。
そうなると、木は酸素より二酸化炭素を多く放出することになり、酸素の生産という面では存在意義がなくなります。
ですが、木は伐採されて木材となった後も、長期にわたり吸収した二酸化炭素を炭素として固定(貯蔵)する機能があります。
したがって、ある程度成長した木は計画的に伐採し、木材として有効利用し、伐採後の土地には、若い苗木を植えることを繰り返すことで、木が私たちにとってかけがえのない存在となるのです。
いつまでも澄んだ空気の中で過ごすためには、木の存在を有意義なものとしなければなりません。
私たち自身、日頃から木や森林に関心を持ち、努力し続けていくことが必要でしょう。
床・壁・天井・建具など、
木材での内装の方法や事例を紹介しています。
地球環境の将来が懸念されてきている今日において、木は環境にやさしい材料として見直されてきております。
このような時こそ持続的に木材の供給可能な森林づくりへの理解のもとに、価値ある木材資源の利用方法を考えてみる必要があります。
木材資源は、生物資源なので、石油や石炭のように使ってしまえばなくなるようなことはなく、適正に資源管理をすると、農作物のように永代にわたって再生産することができます。
木材資源は、自然力によって造成されるので、公害をもたらさないばかりか、造成過程において国土保全、水資源のかん養など公益的な機能を発揮します。
木材資源の造成に要するエネルギーの大半を、太陽エネルギーでまかなっているため、時間はかかるが、極めて省エネルギー的です。
木材は、軽量の割に強度が大きい、適度な吸音性、吸湿性、断熱性を持つなど、総合的に優れた性質を持ち合わせているため、利用の歴史は古く、代替品が蔓延している今でも、その価値は高く評価されています。
木材は、切削、接着など、資源から材料への転換(加工)が容易で極めて省エネルギー的です。ちなみに、同じ重量の材料で比較すると、木材(製材)の加工エネルギー100に対してコンクリート 140、鋼材 841、アルミニウム 3,430となっています。
木材は、使用された後、他の木質材料の原料として、また、燃料や他の生態系への肥料用など、資源の有効利用が可能です。
商品の品質や性能を保証するため、各種機関によりつけられる認証マークがあります。木質内装材は、主に次のような認証マークがつけられています。
日本農林規格のことです。農林・水産物加工製品の規格で、食料品に多いが、木材・合板・集成材など木材を加工した建築材料にもこの規格があります。
JIS規格
日本工業規格のことです。公的建築物にはJIS規格製品の使用が義務付けられています。
BL住宅部品
建築大臣認定を受けた優良住宅部品のことで、Better Livingの略です。主としてユニット部品・システム部品が多く認定されています。なおBL住宅部品は災害損害保険と補修保険がつけられています。
AQマーク
建築大臣認定を受けた優良住宅部品のことで、Better JASだけでは対応できない、安全性および居住性の優れた新しい木質健材および木質の屋外製品部材につけられるマークで、(財)日本住宅・木材技術センターが品質性能を評価・認証するものです。
間伐材を原料にした製品で、全国森林組合連合会が認定します。
エコマーク
環境への影響を低く抑えたり、資源を再利用した商品につけられるマークで、(財)日本環境協会が認証しています。
道産の間伐材を原料にした製品で、北海道木材利用推進協議会が認定します。
乾燥材(まる乾マーク)
北海道木材産業協同組合連合会が、自主基準を設け、厳しい品質管理のもとで検査に合格した木材に対してつけられるマークです。含水率は造作材で12%以下、構造材で17%以下となっています。
グッドデザインほっかいどう
道内でデザインされたレジャー・スポーツ用品、日用品、衣料品、家具・インテリア製品、住宅設備、エクステリア製品などの製品のうち、外観、機能性、品質、安全性、経済性、社会性について北海道が定めた選定委員会で審査し、優秀な商品として認められたものにつけられるマークです。%以下、構造材で17%以下となっています。
住宅やエクステリアなど個々のケースについて
木材の性質にふれながら
メンテナンスの要点を解説します。
一般の木材の欠点は「燃える・腐る・狂う」といわれます。
これらのうち「腐る・狂う」には水が深くかかわっています。
そのため、木造住宅の維持管理は水の管理にあるともいえます。
ではなぜ水の管理が重要なのでしょうか?次に述べるのがその理由です。
木材が腐るのは、木材腐朽菌といわれるキノコの仲間が、木材を養分として寄生するからです。
そしてこの菌が生育するには、空気、適当な温度、水分が必須なのです。
しかも、これらのうちどれか一つの条件でも欠けば菌が生育できず、木材が腐らないのです。
養分である木材を利用できなくするには、防腐剤による処理の他に、現実的に対応ができるのは水の排除です。
木材が反ったり割れたりするのは、水分の出入によって内部に応力が発生するためです。
ですから、木材中の水分の移動がほとんどない状態にしておけば、狂いや割れを抑えることができるのです。
そのため、乾燥材を使うこと、雨水や結露などによって木材が濡れないように保つことが重要になるのです。
一般の住宅で、水の管理に気をつけるところは下図のようになります。
特に、台所や浴室などの水回り、結露しやすい押入れの中や窓枠、あるいは壁の中や床下などは水の出入が激しいところです。
これらの箇所のうち壁の中や床したなどは水の管理ができないので、従来から新築時に耐朽性のあるヒバやヒノキを使ったり防腐処理材を使ったりして、長期の耐用年数を確保できるようにしています。
腐れ・狂いの他に、日光による変色やシロアリなどの昆虫による被害などがあります。
変色は、特に南に面した部分で早く進みますが、これは保護着色剤を2~3年毎に塗布すれば防げます。
外装材として木材を使っている場合には、カビの被害も誘発しますので、この処理を確実に行わなければなりません。
虫による被害には、次の三つがあります。
まず、木材が製材される以前に丸太に産卵された虫の卵が、住宅建築後成虫になってでてくる場合です。
カミキリムシ、キクイムシ、キバチなどがこれにあたります。これらの虫は、乾燥材に産卵することができませんので、成虫が住宅の中の部材に被害を広げる恐れはありません。
成虫が脱出のさいにあけた孔を補修するだけでよいのです。
二つめはヒラタキクイムシ(体長5~8mm)です。
ラワンやナラなどの乾燥した広葉樹材の辺材に産卵をくりかえしますので、一度この虫の被害にあった場合には、徹底的に駆除しなければ被害が大きくなる恐れがあります。
被害は、鋸屑のような細かい木粉が山のように積もっていたり、直径1mmほどの孔ができることによって見つけることができます。
駆除は専門業者に任せたほうが確実です。
同じように乾燥材に産卵するものにシバンムシがいますが、一般住宅ではほとんど被害を受けません。
三つめはシロアリです、本道には上砂川より南にヤマトシロアリが生息していることが確認されていますが、実際上被害が問題になるのは札幌以南です。
ハアリの発生で確認することができます。シロアリが生活するためには水がなければならず、腐れの予防がそのままシロアリの予防につながります。