間伐材製品普及促進事業についての質問と回答
このページでは、道産木材を使用した製品を開発するに至った経緯、開発の内容について解説します。
−人工林(じんこうりん)てなあに?
−なぜ人工林は間伐(かんばつ)しなければならないの?
−なぜ間伐した材(間伐材)を利用しないの?
−なぜ間伐材は利用しなければならないの?
−なぜ文房具製品を開発するの?
−どんな文房具製品を開発するの?
−間伐材や間伐材製品は質が落ちる?

人工林(じんこうりん)てなあに?

森林は大きく人工林と天然林に分かれます。天然林は自然状態で成立する森林です。一方の人工林は人間が木を植え、人間が木を育てて成立する森林です。
天然林では多種多様な樹種と、多種多様な樹齢の樹木で構成されているのに対し、人工林では1種類か多くても2〜3種類程度の樹種・樹齢の樹木で構成されているのが特徴です。
人工林は天然林に比較して短期間に大量の木材を生産することができます。

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なぜ人工林は間伐(かんばつ)しなければならないの?

樹木を太く、まっすぐ育てるためには、光のコントロールが重要です。人工林では樹木の成長に合わせて周りの木を伐採することで光の量を調整します。これが「間伐」です。
また、人工林は樹木の苗を植えることから始まりますが、すべての苗が良い苗だとは限りません。間伐には悪い苗を淘汰して良い苗を選別する働きもあります。
間伐をしないと、樹木はひょろひょろになります。
さらに、樹木の大きさに対する葉の割合が少なくなるため、十分な光合成ができず、栄養状態が悪くなります。そのため、強風や豪雪で折れたり、病気にかかったり、虫に食われたりする危険性が高くなります。


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なぜ間伐した材(間伐材)を利用しないの?

主な理由として次の3つの理由が挙げられています。 
  1. 木材の価格が低迷していること

    樹木の値段は、直径 30cm程度のものでも 1万円弱でしかありません。ここから、木を伐り、運んでくる費用を差っぴくと、手元に残るのはほんのわずかです。間伐材は細いのでさらに値段は安く、運んでくる手間もかかるので、場合によっては木を売っても費用をまかなえないこともあります。

  2. 外国から輸入した木材・木製品や、プラスチック等の木材・木製品に変わる資材が増えてきたこと。

    高度経済成長期以降、海外から安い木材が大量に入ってくるようになり、同時に、プラスチックやビニル製品等、非木質の製品が増えてきたために、国産の木材の需要が減っています。

  3. 天然林材や主伐材よりも直径が細いため、用途が限られていること。

    間伐材は生育途上の森林から産出されるため、天然林材や主伐材よりも直径が細くなります。カラマツなどの間伐材はほとんどが輸送用の梱包材など使用用途が限られています。

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なぜ間伐材は利用しなければならないの?

主な理由として次の2つがあげられます。

  1. 間伐材や間伐材を使用した製品が流通することにより、森林の整備が進むこと

    木材は地球上で数少ない再生可能な資源です。間伐材などの木材・木製品の利用が進むと、最終的にその利益が造林や間伐などの森林整備に充当されることになり、森林資源を循環的に利用することが可能になるのです。しかしながら、現在では間伐材の利用があまり進んでいないため、森林資源を循環的に利用することが困難な状況となっています。

  2. 二酸化炭素の発生を抑制すること

    地球温暖化の原因の一つとして大気中の二酸化炭素濃度が上昇していることが挙げられていますが、二酸化炭素は植物の光合成により植物体内に取り込むことができます。特に樹木は幹に大量の炭素を保持することができます。
    また、植物は、腐らせてしまうと微生物等の働きにより植物体に取り込まれた炭素を二酸化炭素として大気中に放出してしまいますが、住宅や家具などに木材を使用することで炭素を固定し、放出量を減少させることができます。

    ※平成14年度森林・林業白書(林野庁)より

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なぜ文房具製品を開発するの?

開発する製品は、次の3つの点から文房具にしました。

  1. 文房具は誰もが使用し、誰もが購入可能な製品です。

    数ある木製品のうち、文房具はほとんどすべての人が使用し、単価も安いため、この運動の趣旨に賛同いただけるすべての人が運動に参加することができます。

  2. 文房具の中でも特に紙については、木材需要を左右する大きな需要です。

    木材需要量のうち、紙需要が占める割合は55%となっておりますが、紙需要に占める道産材の割合は38%にしか過ぎません。そのため、まだまだ使用の余地があり、かつ運動が軌道に載った場合の効果は小さくありません。

    ※平成18年度北海道木材需給実績(北海道水産林務部木材振興課)より

  3. 森林整備の推進のためには間伐材などの木材の使用が効果的です。

    間伐は人工林の整備に欠かせない作業です。しかし、間伐された木材は利用用途が少ないこと、需要量が少ないこと、高く売れないことから森林内に放置されているものも少なくありません。
    文房具はこのような間伐材等を使用することが可能なため、文房具製品に木材を使用することは間伐材等の利用促進につながります。

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どんな文房具製品を開発するの?

次の3つの柱にしたがって製品を開発します。

  1. 原料に北海道の森林から産出された間伐材を使用すること

    地域の森林資源を使用することは、間伐の促進など地域の森林整備に寄与します。また、地域の林業や木材産業を活性化します。

  2. 製品は道内の企業が製造すること

    地域の企業が製造することは、地域の雇用拡大など、地域経済の活性化を促進します。また、北海道の森林資源の有効活用や、地産地消の促進につながります。

  3. 日常生活に必要不可欠な製品であること

    身の回りの身近な製品から木材のあり方を見直して見ましょう。誰もができる森林保護、環境保護があるはずです。
    道民の皆さんにも間伐の意義を理解していただき、身近なところから間伐材を使用した製品を利用していただきたいと思います。

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間伐材や間伐材製品は質が落ちる?

一般に、小さい樹木は、大きく成熟した樹木に比較してやわらかいので、住宅等の骨組みとして利用することはできません。しかし、紙やボールペン等で利用する上では何の支障もありません。
木材の利用は、小さいときに伐採されるものは紙やボールペン等の消費財として利用し、大きくなってから伐採されるものは住宅等の耐久財として利用する、適材適所が大切です。

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