木の存在

 私たち人間はもちろん、ほとんどのものは、呼吸などエネルギーを消費するときには酸素を必要とし、二酸化炭素を排出します。このことは、木などの植物も同様です。
 一度排出された二酸化炭素は、もうエネルギー源にはならず、どんどん大気中に溜まり地球温暖化を引き起こすなど、自然環境を悪化させます。
 しかし、木などの植物は『光合成』といって、大気中の二酸化炭素を葉から吸収し、根から吸収した水とともに、太陽エネルギーを利用して有機物(炭水化物)を合成し酸素を放出する能力を持ちます。
 これこそ、木の存在を考える上で、忘れてはならない重要なことです。
 木などの植物が成長しているときは、光合成による酸素の生産量が呼吸による消費量を上回っています。つまり、光合成が活発な若い木ほど、酸素を多く放出する、とても素晴らしい存在といえます。
 では、成長が止まった木はというと、光合成による酸素の生産量は次第に減少し、呼吸による酸素消費量と同じになっていきます。 さらに、酸素の生産量が減少し、消費量が上回ってくると、木は枯れてしまいます。
 そうなると、木は酸素より二酸化炭素を多く放出することになり、 酸素の生産という面では存在意義がなくなります。
 ですが、木は伐採されて木材となった後も、長期にわたり吸収し た二酸化炭素を炭素として固定(貯蔵)する機能があります。
 したがって、ある程度成長した木は計画的に伐採し、木材として 有効利用し、伐採後の土地には、若い苗木を植えることを繰り返すことで、木が私たちにとってかけがえのない存在となるのです。
 いつまでも澄んだ空気の中で過ごすためには、木の存在を有意 義なものとしなければなりません。私たち自身、日頃から木や森林に関心を持ち、努力し続けていくことが必要でしょう。

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